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営業と実務、部門間の思い

樽井 ここにいる皆さんは実務、僕は営業。営業というのは仕事をとってきて売り上げを上げることが責務なので、長いおつきあいのあるお客さんも新規のお客さんも、担当者は熱量をもって営業していく。けれども「今、人手が足りないから受注できません」と仕事を断らざるを得ないこともあって、それでは営業の機会を本当に逃してしまう。そこは非常にジレンマに感じているところなのです。20年前くらいの皆さんの若かりしころは、一つひとつの案件に担当者がいたけれど、今はグループでやっている。この取り組みの変化は、要求されている業務の質と量が多くなってきているということなのだろうか。
佐野 業務がものすごく複雑化しているのは間違いないですね。平成初期と、令和の今では申請行為一つとってもはるかに違う。
野口 プロポーザルに取り組んでいると、労力も時間もお金もかけて仕事を取る大変さはすごくよくわかるんです。新規の仕事をやりたいけれど人手が足りないというジレンマは自分のなかにもある。設計でいうと、業務量は非常に増えてはいるけれど、そこは効率の上がっている部分で作業量を縮めたい。
市原 国が生産性を上げよ、働き方改革だと言っているのは、効率を上げて就労時間を減らすということだけど、業務量が増えているのも事実。効率を上げているのに仮に昔と同じような長時間の仕事をしていたら、精神的にまいってしまいますね。
佐野 実態として合理化はされているけれど、増えた業務量とのバランスがどうなのかは、定量的にはわからない。意匠でいえば、一番時間をかけたいのは作図ではなくて考え方の整理、クライアントへの提案・交渉といった否応なしに多くある接点、対応策をつくる部分だからね。そのためにはさらに効率化をと言わざるを得ない。一方で複雑化と合理化のなか、昔に比べて仕事に対する熱量が今の若い人にもあるか? と言えば、僕はあると思っている。モチベーションもある。待遇や環境を整えないといけないという点が課題でしょう。
市原 監理は営業とはあまり接点がないんです。メインの仕事はあくまでお客さんに対し、信頼をなくさないように品質を監理するという部門です。
樽井 業務の最後の最後が監理だから営業的にも重要な接点だと思います。お客さんに、「横河にお願いしてよかったね」と信頼されてフィニッシュしてくれるのが営業としてはいちばんうれしいし、ありがたいんです。